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明るさについて

今回は明るさについてです。
以前の「ANSI FL1 Standardとは」という記事で明るさについて軽く紹介していましたが、今回はもう少し詳しく紹介したいと思います。

ジェントスの明るさの表記は?

みなさんは「明るさとは?」と聞かれてどんな表記が浮かぶでしょうか?
出力〇〇W(ワット)相当?それともルーメン?カンデラ?電球でなじみのあるルクスでしょうか?
ジェントスでは現在、明るさを表すのにルーメンを使用しています。
ルーメンという表記を使用する以前は、ジェントスは「砲弾型LEDの明るさ〇倍」という表記を使用していました。
「LEDの特長と種類」で理由について触れていますが、明るさの表記の変更の理由はLEDの性能向上によりこの書き方では明るさを表現しきれなくなったためです。
今回、なぜルーメンを使用することになったのかという経緯を前半で話していきたいと思います。

「出力〇〇W相当」はなぜ使われないのか?

「砲弾型LEDの明るさ〇倍」がだめなら、「出力〇〇W相当」で表せばいいのでは?と考えた方もいるかもしれません。W(ワット)は本来、ライトが光を出すときに使われるエネルギー(消費電力)を表しています。
LEDライトの発売当初、明るさの表記は電球などでなじみのある「出力〇〇W相当」で一般には定着していました。当時のLEDの明るさは消費電力と比例しており、消費電力が大きいほどLEDが明るいという認識だったからです。
現在のLEDは性能が上がり、同じ消費電力でも昔の製品の明るさより何倍も明るくなりました。そのため、「出力〇〇W相当」では明るさを表しきれず、ジェントスではこの表記を使わなくなったのです。
ちょうど表記の転換期前後に販売していた製品のSuperFireシリーズを例として見てみましょう(下表)。
初期に発売されたSF-101は明るさ1W相当で25ルーメンでしたが、同じ1W相当で後から発売されたSF-103Xは45ルーメン、SF-132XXは80ルーメンと明るさがアップしています。同じ消費電力のLEDを使用しているにも関わらず、性能のいいLEDの登場により明るさが倍以上の製品が生まれました。

表1. 明るさと消費電力

現在でも「〇〇W LEDフラッシュライト」等と表記している製品が店頭に並んでいるのを見ることがあります。
こうした表記の製品はLEDチップの消費電力のみを記載しているので、この表記から明るさを判断するのはオススメできません。
同様に、LEDチップの明るさをライトの明るさとして表記しているものがあるため、こちらもオススメできません。
LEDライトの明るさはレンズ等の影響があるので、必ずしも「LEDチップの明るさ=ライトの明るさ」となるわけではありません。
商品を選ぶ際は表記にご注意ください。ジェントスでは専用の検査機械を使用して、各製品としての明るさを必ず実測しています。

なぜ、ルーメンで表すのか?

以上のような経緯から、ジェントスはLEDライトの明るさを表す新たな表記を探し始めました。
様々な規格を調べた結果、フラッシュライトが生まれたアメリカ合衆国のライトメーカーが使用するANSI FL1 Standardという規格に行きつきました。
ANSI FL1 Standardに沿ったスペック表記は、どんなにLEDの性能が上がってもライトの性能表記が可能であり、世界中のどのような製品とも比較しやすいものでした。
ANSI FL1 Standardで採用されていた明るさの表記がルーメン(光束 lumens)であり、現在パッケージに記載されている明るさ表記です。

ジェントスは明るさをルーメンで表記することに決めましたが、明るさの表記にはカンデラやルクスなどの表記もあります。
後半はルーメンを含め、違いが分かるようにもう少し詳しく紹介していきます。

ルーメンとは

ルーメンとは、光源などから光の量(光束)を表す単位の一つです。
光束とは、光源から出ている光の量のことです。LEDライトの明るさを測定するときは、LEDライトから出ているすべての光の量(全光束)を測定しています。
光源から出ている光を線で表したイメージ図を用意しました(下図)。この図は平面図ですが、実際は光源から出てくる光は全方向に広がっています。
光源から出ている光が多い程、明るいことを示しています(右下図)。

図1. ルーメンイメージ図

ジェントスで一番ルーメン値の大きいライトは、フラッシュライトUltiREXシリーズUT-618Rの13,000ルーメンです。
SuperFireシリーズSF-101の25ルーメンから500倍以上も明るくなり、技術の進歩を感じられる製品となっています。

カンデラとは

カンデラ(単位:cd)とは、ある一方向に対する光の強さ(光度)を数値で表わした単位の一つです。
こちらもイメージ図を用意しました(下図)。
全方向に出ている光のうち一方向のみの光の強さを測定していることを表しています。 ジェントスのライトの場合、明るさが最大時の光度を測定しています。

図2. カンデライメージ図

ジェントスで一番カンデラ値が大きい製品は、リフレクター(反射板)を使用して光を中央に集め(集光)ることで最長の照射距離1034mを実現したUltiREXシリーズUT-1000M(267,200カンデラ)です。

ルーメンとカンデラの違いを踏まえて注意しなくてはいけないことがあります。
大きなルーメン値を持つ製品のカンデラ値が必ずしも大きいという訳ではないということです。

表2. ルーメンとカンデラの比較

同じ明るさ350ルーメンのワークライト GZ-112フラッシュライト MG-822Dを例に見てみましょう。
MG-822Dが15,405カンデラであるのに対し GZ-112は130カンデラとなっています。
COB LED を搭載したGZ-112は広範囲照射が特長です。広範囲照射とは、光が広く拡散することを意味し、中心のカンデラ値が小さくなります。
分かりやすく光を線で表したイメージ図を用意してみました(下図)。

同じルーメン値のため、同じ本数の線が2つの製品から出ていますが、GZ-112の照射面は広く、線の密度がまばらです。
一方、MG-822Dの線は、レンズを使用して光を集光しているため密になっています。カンデラ値を測定する中央部(青く囲った中央部分)を見ると、 MG-822Dの方に線が多く入っているため、カンデラ値が大きくなったのです。

図3. MG-822DとGZ-112の明るさイメージ図

逆にルーメン値がそれほど大きくなくても、スポットビームやリフレクターで集光していればカンデラ値は大きくなります。
例を挙げると、45ルーメンのフラッシュライト DM-031Bと700ルーメンのワークライトGZ-704は同じ180カンデラです。
DM-031Bはルーメン値こそGZ-704の10分の1以下ですが、リフレクター(反射板)による集光で180カンデラを実現しています。

カンデラ値が大きいと遠距離照射ができるので、ライトを購入する際の目安にしてください。

ルクスとは

電球のパッケージなどで最も馴染みのある表記ではないでしょうか。
ルクス(単位:lx)とは、光源から離れた場所で単位面積当たりの面が受ける光の量(照度)を数値で表わした単位の一つです。単位面積あたりで明るさが均一な場合は数値の変化はありませんが、明るさが異なる場合は単位面積内の4~5点測定した平均値を使用します。
気を付けなくてはいけない点は、測定する距離や位置により数値が変化するため、都合がいいような測定結果の製品があることがあります。

図4. イメージ図

ジェントスの製品ではなかなか見られない表記ですが、デスクライトはルクスを使った表記をしています。
光源からどのくらいの距離でどの場所で測定された明るさなのかを明記していますので、製品を選ぶ際の参考にしてください。

ライトを選ぶ上で知っていると便利な明るさは以上3種類です。

紹介した3種類の明るさの他に、液晶ディスプレイのバックパネルの明るさを表すのに使用される輝度という表記があります。
光源がどの程度輝いているのかを表し、照らされているものが光を反射する時の明るさにも使われる表記です。
ライトやライトに照らされているものを見た時にどれくらい眩しいかを表した表記と言い換えることもできます。ライトで何かを照らした時に反射光が眩しい場合、輝度が高いと表します。

ここまで図を交えて紹介いたしましたが、明るさについて分かりましたでしょうか?

製品の明るさを見る際には今回ご紹介した点を注意してみてください!

過去のブログ記事はこちらから
第4回2020.01.24 「ヘッドライトの種類」
第3回2019.12.25 「ANSI FL1 Standardとは」
第2回2019.11.25 「フラッシュライトの種類」
第1回2019.10.25 「LEDの特長と種類」